2013年07月22日

『聞いてる、ミランダ?』







その本を再び手に入れることができたのは、ほんの小さな巡り合わせでした。




いまから四十年前に少しだけ満たない頃、近所の本屋で購入した本。


私が学生時代の1975年初版の翻訳本で刊行と同時に購入した一冊。


タイトルは「聞いてる、ミランダ?」、講談社で出されていた本です。


現在では版元絶版という、所謂、在庫もないため購入できない本です。




そんなお気に入りの一冊をいつも手元に置いていたはずでしたが、


引越しやらなにやらでいつの間にか無くなってしまい


数年前からネットで探していたのです。




21才で他界した母親をもつ主人公である娘ミランダ。


ティーンエイジャーである彼女が生きることや


父親との葛藤を深く抱えていた時に、


母親が娘に生前残しておいたテープを父親から渡され、


幼少のころに聞いた懐かしい母親の声をカセットに入れて


自宅から遠く離れた場所でひとり、


自分に宛てた「生きたメッセージ」を聞き取りながら旅をするストーリーです。


その家出ともいえる旅の中で、自分を見つめ、


やがて父親への誤解を解き、


今は無き家族たちへの理解も得てゆくという物語です。




今の自分とたいして歳の違わない母親が、言葉を選びながら


いま自分に語り掛けてくる・・・、


その懐かしい声に心を揺らしながら聞くテープは全部で四本。


少しずつ弱っていく母親の声。残り少なくなってゆくテープ。


そして明らかにされた衝撃の真実。


テープの声に励まされながら、一言も聞き漏らすまいと聞き入る19歳の娘。


その先にはいったいどんな展開が・・・・。





そんな物語をまた読み直したくなり、ネットでも探していたのですが、


見つかるときは見つかるもので、青森の古書店に一冊。


もう一冊はオークションに出されていました。




早速、手に入れた懐かしい装丁は、いかにも昔風のあの時代の作りです。笑


ほぼ間違いなく覚えていた文章もあれば、


あれほど読んだにもかかわらず、まるっきり覚えていなかったところもあり、


深夜に少しずつ読み進めております。




さて、私にはそういう本が近年に数冊あり、


便利なネットで時折探し歩いています。


たとえば、もう一冊は旧ソビエトの作家


ペトローヴィチ・バジョーフの著した「石の花」。


これは児童書として別名「孔雀石の小箱」というタイトルでもあるようです。


手に入るといいなぁ・・・。




こういう過去への探求と時間を忘れたお遊びは、


誰にでも持ち合わせている事柄でしょうし、


自分だけの特別に大切な愉しみでもあると思います。





今度また、あの某BARの「S字カウンター」で一人私がニヤニヤしていましたら、


是非、わたしに話し掛けてみてください。


「また何かお気に入りの本が見つかったのでしょ!」と・・・。






 
 


『聞いてる、ミランダ?』

 
 











『聞いてる、ミランダ?』



 
 
 
  
 
 

 
 
 
 



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Posted by ひげ at 20:32│Comments(0)読書
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