2013年11月25日

「いま悲しみの中にいる、あなたへのエール」





















ここに一冊の本があります。


先日、懇意にしている本屋さんに注文していた、


『悲しみの中にいる、あなたへの処方箋』という本です。


早く手元に来ないかなぁと、


首を長くして待っていた一冊です。





この本はちょっと重いテーマ、


「死別」について書かれた本です。


ごめんねぇ、ズンとくる話題で・・。


これはね人が必ず行きあたる「死別」という別離に焦点をあてて


残された者の視点と立場からまとめられた本です。


そして、これは誰しも避けて通ることはできないテーマなのです。





さて皆は日頃、無意識に気持ちの端に追いやっていることでありますが、


「人は必ず亡くなる」ということ。


それと同様に、その身の回りの親しい人との死別や


或いは会ったこともない憧れのアイドルの死まで、


人は生きて行く上でいろいろな形の「死別」に出会います。





その中でも身近な人との別離は、


残されてしまった自分自身に膨大な影響と


とても長い時間に亘り重い力を投げかけます。


その「影響力」の大きさは当事者でないとわかりません。


残された本人にしか計ることのできない


強く深い魂に訴える力です。





もっとも、自分自身が他界したときには


逆に身近な人たちに同様の影響を与えてしまうのでしょうが、


残された者の立場はあくまでも受け手であり老若男女に関わらず、


その「別離」からどうやっても逃げ避けることができません。





この本は著者の男性が癌の医療関係者という立場でありながら


自分の専門分野の病で長い間連れ添った最愛の妻を亡くしてしまった。


その「膨大な喪失感」と「理不尽」な思い、


「行き場のない憤懣」と「ショック状態」から


いかに手探りで時間を掛け


自分の気持ちとの折り合いを少しずつ確認しながら


「その事」と向き合い受け入れてきたのかが


整理されて書かれています。





凄いなと思ったのはわずか数行に書かれたことですが、


24名の残されてしまった人たちのケース。


その心理状態は784形態を数えて、


ある一定の期間に「その事」を乗り越えるべく考えてトライした対処方法が


実に559種にも及ぶという数の多さです。


愛情や親密感が深く大きいほど、その喪失感も大きかったのでしょうね。





人は性格も環境も、考え方も経験値も


それぞれが大雑把に分類が可能でしょうが、


まったく同じ人が居ないほどに各自多様な個性を持っています。


同じ死別という事に対しても


それと同様にいろいろに自分なりのトライを手探りで重ねているのでしょう。


そうした結果がこの数字だと思います。


でも、それは数式のように方程式から導きだす「答え」が


等しく約束されている訳ではなく


人それぞれが乗り越える道やスタイルが


微妙に違っているということを示唆しているように読み取れます。


つまり自分なりの乗り越え方を見つける必要があるということ。





さて、私自身の場合は約十年ほど前に


わずか11日の間に両親が他界したときに抱いた「喪失感」は、


いまだに懐から手離すことができないのですが、


時間の経過と共に


いつの間にか「不在の喪失感」と「不思議な存在感」が


気持ちの中に住み分けながらも見事に共存しています。


時間の経過というものの持つ浄化・是正の力の偉大さを


いま、努めて感じています。


十年かかりましたが・・・。


振り返れば、去ってしまったその人との「思い出」が


温かいものであればあるほど、密なれば密なるほど、


立ち直る力となってくれる・・・。


まるで去った人が、


自分をいま励ましてくれているが如くに。





また、以前に手に入れた作家 城山三郎氏の


亡き妻を題材にした「そうか、もう君はいないのか」(新潮文庫)


などを併せて読むと共通しているように感じますのが


先に逝った人への「不憫さ」や「同情」という感情からスタートした深い「不在感」です。


その鋭い痛みに似た輪郭部分がやがて時間の経過と共に


どのように柔らかく曖昧な綿のようなものに包まれて行くのか


ひとつのケースとしてのヒントを読み取ることが出来るかと思います。





そしてもうひとつ。


「悔い」があるとするならば、


生前、もう少し気を遣えば良かったとか、


こうしてあげればよかったとか・・・。


きっとその「悔い」は、


いまあなたの身近にいる人たちに対して生きた働きをしてくれることを


先に逝った人は理解していると信じます。


そしてそれは残された者に対する亡き人の心からのエールでもあります。


その「少し遅く届いた思い遣り」に対して


生前のままの関係として二度と会うことが出来ない人は


きっと貴方に対して満足げに微笑んでくれるでしょう。


間違いありません。







とまれ、この必ず体験せざるを得ない別離に対して


いままで背を向けていた身体の向きを変えて


そろそろ正面から向かい合う時が来ているように感じる。


それは本屋さんに並ぶ「死」というテーマを含んだ本が


最近、増えているように見えるのは


強ち、見間違えだけではないように思えるのです。









そして、この本のタイトル、



私は『いま悲しみの中にいる、あなたへのエール』という意味として



理解したいと思っています。



 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
  


Posted by ひげ at 19:10Comments(0)