2014年08月10日
「夏の怪談」で心豊かに
お盆のころは終戦の番組などと相まって
日ごろ忘れがちな自分たちの祖先へ、
あらためて心を向けるころでもあります。
このところ先に行ってしまった人たちの気配が
ふとした瞬間に身近に感じます。
そんな夏に読んでみたいのは
宮部みゆきの「お文の影」という文庫です。
この本は「ばんば憑き」というタイトルで
単行本となっていた本を文庫化に際して改題したもので、
宮部みゆきの紡ぐ世界の常でもあります
活字を追い、ページをめくる読者に対して
心に染みる「救い」で閉められている時代小説です。
最近、特に少なくなってしまった「読書後の清涼感」と同時に
じんわりと切なく・寂しい「余韻」が残る本です。
江戸のころの怪異を柔らかく緻密で
それを読み手に感じさせない手腕は流石と言わざるを得ません。
この少しだけ怖く、たっぷりとした温かい心持ちが味わえる本は、
まるでもう亡くなって久しい「おばあちゃん」がそっと語ってくれるような
そんな味わい深い一冊だと私は思います。
「野槌の墓」なんかは読み終わって目が潤んでしまいましたよ。
佐々木蔵之介や市川猿之助・佐藤隆太、
白石加代子の「百物語」シリーズなどで
いろいろな方が「お文の影」や「野槌の墓」・「ばんば憑き」を
朗読公演もされています。
分かりやすいお話であるがゆえの
ネットでの評価はさておき
私の読書感想からは
この夏、とてもお勧めの一冊だと思います。
どうですか、場所を異にしても
ご一緒に夏夜の読書などは・・・。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140705/bks14070512390007-n1.htm
http://books.rakuten.co.jp/rb/12785968/
http://www.osawa-office.co.jp/write/tatiyomi/m_pdf/banbatsuki.pdf#search='%E3%81%8A%E6%96%87%E3%81%AE%E5%BD%B1'
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