2013年11月15日

『新 13歳のハローワーク』

















人は、只なんとなく生きている部分があります。

人生の幾つかの大きく大切なイベントの合間は、

肩の力と気を抜いて、

その間に趣味や愉しみ、栄養や休息

そして次へのチャレンジに備える時間なのです。




日本では一般に10代前半の頃に

自分の将来の方向を決めることが是とされていますが、

広い意味ではあまり真剣に考えることを避けて

若い人たちはその問題を先送りする傾向にあります。

私もかつてそうでした。




さて、私はここ三十年あまり出版業の仕事をしているのですが、

以前、赤坂に住んでいた時代には度々、記者会見に呼ばれて

記事編集や撮影も行なっていました。

当時は今で言うIT関係の分野も含まれていたので

あのIBM事件のときなどは赤坂のホテルオークラに

深夜11時半からの記者発表にも行きました。

記者仲間は皆、「こんな時間に呼んで帰宅しないことが前提かよ!」と

鼻息も荒かったのですが、

後で聞きますと衛星中継の記者会見は

時差の関係で日本は当日のその時間。

次回の記者会見は日本時間に合わせる・・というように、

バランスをとっていたそうです。



そんな関係で後に首相となられた方と呑んだり、

ノーベル賞を受賞された方や業界の著名人、

そしていま白い犬のコマーシャルの人など

多くの人たちとお話をしたり呑んだりする機会に恵まれました。

白い犬の人の最近の名言、

「髪の毛が後退しているのではない。 私が前進しているのである」は

有名ですね。

またビルさんがまだあまり有名でない頃にお会いしたのもこの頃です。

彼の名刺は緑色の盛り上がった印刷でした。笑

そうそう、○ECビルの最上階には役員しか入れない部屋があり、

そこでは・・・、・・・。ぁ




ゲホゲホ・・、

さて、自分でこうしたい・ああなりたいと思ったことは、

そんなに強く希望したわけではなくて

振り返れば流れるままに過ごしてきた現在の自分が漠然と居るのですが、

その起点となったもの、

それは小学校の静岡県清水市(現清水区)の写生大会でした。

担任の望月先生の強い勧めで四年・五年・六年と

写生大会に応募して賞を続けて貰ったこと、

これが子供心に将来の方向に対しての

おぼろげな形、切っ掛けになったように思います。

なんとかもおだてれば木に登る・・・。ケホケホ




お話を戻しまして、

いま日本で職業と名の付くものの数は、

「労働省編職業分類」に28275種の職業名があるそうです。

この膨大な2万8千を数える仕事のうち、

いったいどれが自分の適性に合っているのかの答えを

前述のように10代前半の頃の若者自身が

どれほど間違いなく導き出すことができるのであろうか・・・。

見方を第三者的な視点に替えて、その若者の素質を見抜いてくれる環境が

いったいどれだけ存在しているのであろうか・・。

ちょっと考えただけでも「疑問」がまず先に湧いてきてしまいます。

ほら、「好きな趣味を職業にすると楽しみがひとつ消える」とも言いますし。




お気に入りの趣味でさえもそうですから、

その人に向いていない職業、適正からずれた仕事に

不幸にも従事してしまった場合は、

想像を絶する壁やアクシデントに行き当たるでしょう。

時間も知識・技術の習得のために掛かった費用なども

大きな無駄と負担になってしまいます。

かといって人は何らかの仕事に就かないわけにはいきません。

大なり小なり人は社会に関わりを持たないわけにはいかないのが

この世の中です。

若者の離職率が高いのはこのへんも関係しているように思います。

つまり自分に合っていない仕事に就いてしまうということ。



私の場合は、たまたま「絵心」からデザインに

そして読書好きから文章関係へと

いくつかのヒントが目の前にありましたから、

その中で一番楽な道を選び流れただけなのですが、

これから将来を決めていく若い人たちは

つくづく大変だなと思います。





さてさて、

そこで以前に教えて頂いた情報をひとつ。

『13歳のハローワーク』という本のお話です。

あの「限りなく透明に近いブルー」で芥川賞を取った

村上龍氏の出している「本」です。

氏はこんな本を出しているのですね。

勿論、小説ではありません。

ガイドブックのようなものです。人生のね。

2003年初刊行の『13歳のハローワーク』は

その内容の一部を現在の世相にあわせて

2010年に改編し収録職業数を89増やしてあり

『新 13歳のハローワーク』という書名で発売されています。




前述の職業分類28275種の内、この本で紹介されている593職種は

少ないのではとお思いになるかもしれませんが、

フラクタルに分類された分野の根は同じだと思います。

この種の本の類書自体もあまりありません。

この本では593の職業について

それぞれの職業をわかりやすく分類・要約していて

イラスト入りで比較できる優れた本です。

余談ですが優れた小説の基準をご存知ですか?

それは「誰にでもわかる言葉を使って、

そこから深い世界へと誘(いざな)う」ということです。

そういう意味でも「13歳のハロ」はわかりやすい。




ヤングアダルトが純粋に「○○が好き」という切り口から

自分の適性にあった職業を探せるように優しく説明してあります。

学校の教材として利用されたり、

たぶん図書館にも所蔵されていると思いますが、

大判で一冊2,730円というお値段で550ページを越えるボリュウムですから、

私は手元に置いた方が良いかと思います。



将来のことを悩んでいる人や

ご自分の子供さんの将来を見出したい親御さんたちには

強くお薦めだと思います。

勿論、私も所有していますょ。

尚、この本の利用年齢は上限がないと思います。

二十歳を過ぎようと、三十路を迷おうと

俯瞰できる情報に線は引けません。

どんどんと自身で道を切り開くタイプの人だけでなく、

むしろ、おとなしく控えめな人たちにこそ

じっくりと読む価値が見出せると思います。




Amazonなどで「新 13歳のハローワーク」と入れれば出てきます。

あ、古いほうではなく新しい方の内容が

現在の世相に合致していますからお間違えの無きように。

古い方も現在流通しているようですから要注意です。

尚、関連してこんなサイトもあります。


■「13歳のハローワーク 公式サイト」

http://www.13hw.com/home/index.html


■「13歳の進路」

類書として「新 13歳のハローワーク」から派生した

「13歳の進路」です。こちらはまだ読んでいませんが、価格1,365円です。


「社会の中で生きのびる、つまりサバイバルしていくのは簡単ではないが、

しかし、対応策がまったくないわけではない。その対応策の可能性を探るために、

この『13歳の進路』は作られている。――村上龍」


同書も「13歳のハロ」と同様に「どの方向に進めば有利か」ではなく、

「どうすればこの社会を一人で生きのびていけるか」というコンセプトで

まとめられていて、この問題を持つ全ての人たちに必読の本であると思います。



また、これは近々手に入れる予定ですが、同じ作家である村上龍氏の小説

「55歳からのハローライフ」という本もあります。

これは再生・再出発をテーマとした「小説」です。
















更に多様細分化する現代社会、

人は自分の歩くべき道を見失ってから久しい。

その無駄ともいえる遠回りに費やした時間とお金、

それを払拭するために、私たちには「知恵」があります。

今こそ、この知恵を働かせよう。

良い情報と無駄な情報を見極める「眼」を持とう。

情報とは情けに報いると書き、

情けは人のためならずと言います。

※「情けは人のためならず」の意味は、

「情けをかけることは、結局はその人のためにならない」ではなくて、

「情けは人のためではなく、いずれは巡って自分に返ってくるのであるから、

誰にでも親切にしておいた方が良い」というものです。


この拙いブログをお読み頂いている方たちの無駄や無理が少しでも軽減して、

そこに出来た「余裕」を愉しい人生に割り当ててくだされは幸いです。









  


Posted by ひげ at 19:47Comments(2)情報