2013年10月26日
「海に降る雨」
「 海に降る雨 」
子どもの頃から、
海に降る雨が好きでした。
妙に明るい鈍色の空が
遠い水平線と溶け合って
どこまでが空で
どこからが海であるのか
風の絶えた海に落ちる波紋を
音をなくした海を
あの日眺めていた記憶があります。
秋に降る雨は少し硬い。
落ち葉に降り下りる雨が、
カラリとした葉にあたり
季節を探りながら
弱い硬質な音をたてています。
静かに降る雨が、
外の景色を伝えています。
雨樋からこぼれ落ちる水音、
トタンにあたる雨。
子どもの頃
耳をそばだてて
そんな音を聞いていました。
遠く降りはじめる雨を見たことがあります。
薄く煙るように
空から降りはじめると
雨は表の匂いを連れてくる。
流れる空気が運ぶ土の匂い、
雨がたてる草の香り。
そんな匂いをあの日感じていました。
Posted by ひげ at 09:24│Comments(0)
│雑感
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