2013年09月28日
原作と原案

最近、書籍として上梓された「小説」が
短期間のうちにテレビドラマや映画化されるのを散見するのですが、
その多くは原作である「小説」とは部分的にかなり違ったストーリーや
組み立てになっていることが多いですね。
原作の「小説」では存在しない人が、
ドラマ化や映画化で出てきたケースも・・・。
そのことが先にその「小説」を読んで気に入り、
何度も読み返しているような原作の読者にとっては、
違和感を強く感じたり、
なにか裏切られたような気分を抱く原因になります。
時間内に収めるための端折りやザックリとした飛ばし程度は、
メディアの性質上、仕方が無いのかもしれませんが、
それでは元の小説のディテールや著者独特の作風やリズムと
大きく違ってしまうために
このことを「著者はいったいどう思っているのだろう」と
ネットを徘徊して調べてみますと、
結構な割合で製作者側と著者側との折衝で、
途中で頓挫してしまう企画が多いようです。
驚きますのは、見切り発車の後に問題噴出して
訴訟にまでなってしまうものも幾つかありました。
これは台本のネタそのものを
「売れた小説」に求める最近の傾向が
またひとつ問題としてあるようです・・・。
なぜなら、何も無いところから台本を起こす必要がなく、
市場調査などの自腹を切らなくても
「書籍が売れた」という「実績が既にある」から企画も進めやすく、
「その上に更に実績を積み上げればよい」という、
ドラマ化・映画化以降に向かって
製作者側の予算と力を集中できるから・・。
そして「小説」の読者の気持ち、
つまり台本で変更されたストーリーへの配慮よりも
知名度からくる視聴率や来館者数への
カウントへの期待の方が大きいように感じられます。
さて、お話を戻しまして、
ここではそれらのネット徘徊で見つけた「実例」を羅列することは
あえて控えさせていただきますが、
「原作を超えた」と話題になったドラマ化・映画化を
私はほとんど観た記憶がないということは、
いったいどういうことなのだろうという
更なる素朴な疑問にぶち当たります。
書籍である「小説」で表現する活字伝達の世界。
実は活字しかないということが
読む側にとって画像・音を駆使したテレビや映画以上にフレキシブルで
多様性のある受取り側への間口が広く約束されていて
私たちの想像力の感受性ポイントを
数多く刺激することができるからという解釈も成り立ちます。
まあ、私はおおよそ全ての「小説」を
先に読んでしまうということもありますが、
順番が逆でしたらまた違った印象かもしれないことは否めませんが・・。
さて、上記のように幾つか仮定するならば、
活字である小説の浸透性とドラマ・映画の視覚伝達性の比較は、
これはもうある意味、受取る側へのアプローチの方法と
「情報の沁み方」が別物であり、
ということは原作の厳密な再現は最初から限界があって、
そのラインを或る程度、原作の著者側が熟知しているのと同様に
製作側も配慮していないと
後々の誤解やすれ違い発生の元となるということが
この中止の多さが物語っているように感じるのです。
そういえば一昔を三度繰り返すほど前に
視覚伝達論という授業を受けた記憶があります。
もう全て忘れたけれど・・・。笑
おぉっといけない、またお話が飛び始めそうに・・・。汗
言い換えれば、
活字文化のウイークポイントとされている視覚的な刺激の欠如は
実は弱点ではなくて、
受け手側、読み手側の多様な経験や年齢・性別を
広く受け入れることができる入口と奥行きを持った
文化的にとても柔軟性のある伝達手法であり、
とかく、固まってしまいやすい「想像力」を
無制限に刺激することができる「力」を持っている・・・。
そういえば、幾つかの品目と一緒に書籍が
独禁法のうち再販制度に指定されている
公取の「著作物再販制度の取扱いについて」の中にも
「文化の振興・普及と関係する面もある」というくだりがありましたが、
その引用、ここでは些か強引すぎちゃうかな・・・。
願わくば原作を忠実に再現した上に、
ドラマはドラマ成りの。
映画は映画成りの利点を加えて、
「小説」を裏切らずに更なる「昇華」としてもらいたい・・・。
そんなささやかな希望を忍ばせる今日この頃なのです。
Posted by ひげ at 07:11│Comments(2)
│雑感
この記事へのコメント
おはようございます。
だいぶお仕事もお忙しいようで、暑い夏も終わり、ここの所随分涼しくなり、虫の声を聞かないうちに、秋が終わってしまう氣がします。
今年は秋軽でお会いできなく残念です。
話変わりますが、最近私はいろいろな小説や読んでおりますが、電子書籍で購入しており、本当は紙で残しておけばいいのでしょうが、我が家も息子が読んでいた本が押入れにいっぱい入っており置き場がなくなりますので、電子書籍にしております。
先日も半沢直樹シリーズ3冊も読みました。TVは見ていないので、中身が小説とは違うところもあるようと聞いていますが、どうかわかりません。又三谷幸喜の清須会議という本も面白かったです、また昔読んだ竜馬が行くも全8巻読みましたが、若い時読んだので今になって読み返すと、昔読んだ時と自分の感想が違うのがわかり、歳をとったのかと考えられます。
これから寒くなります。お身体にご自愛下さい。
だいぶお仕事もお忙しいようで、暑い夏も終わり、ここの所随分涼しくなり、虫の声を聞かないうちに、秋が終わってしまう氣がします。
今年は秋軽でお会いできなく残念です。
話変わりますが、最近私はいろいろな小説や読んでおりますが、電子書籍で購入しており、本当は紙で残しておけばいいのでしょうが、我が家も息子が読んでいた本が押入れにいっぱい入っており置き場がなくなりますので、電子書籍にしております。
先日も半沢直樹シリーズ3冊も読みました。TVは見ていないので、中身が小説とは違うところもあるようと聞いていますが、どうかわかりません。又三谷幸喜の清須会議という本も面白かったです、また昔読んだ竜馬が行くも全8巻読みましたが、若い時読んだので今になって読み返すと、昔読んだ時と自分の感想が違うのがわかり、歳をとったのかと考えられます。
これから寒くなります。お身体にご自愛下さい。
Posted by IWANOFU at 2013年09月28日 08:22
IWANOFUさん、こんばんは!!
私のお仕事は忙しいと言いますか、
職制変更によりましていろいろと・・・、
と、言うわけでございます。
そんなときに心を癒し、
気分転換するのは読書だと最近思い至りました。
IWANOFUさんも沢山読まれているのですね。
本もドラマも、映画もそれぞれに楽しめれば良いと思います。
読書は心の栄養ですから。
P.S
昨日、ビーカブの窓がまた落ちました。今週末からまたディーラーに預けます。
私のお仕事は忙しいと言いますか、
職制変更によりましていろいろと・・・、
と、言うわけでございます。
そんなときに心を癒し、
気分転換するのは読書だと最近思い至りました。
IWANOFUさんも沢山読まれているのですね。
本もドラマも、映画もそれぞれに楽しめれば良いと思います。
読書は心の栄養ですから。
P.S
昨日、ビーカブの窓がまた落ちました。今週末からまたディーラーに預けます。
Posted by ひげ
at 2013年09月30日 21:13

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。