2010年01月05日

『隅田川七福神めぐり』その3





『隅田川七福神めぐり』その3








昭和十二年(1937年)、

永井荷風が五十八歳の時に執筆した『墨東綺譚』。

文中、自身をあてはめた小説家大江匡は

「言問橋」をわたってお雪という女性に出会う。

出会いと別れを、季節の移り変わりとともに

美しく描き切っているこの荷風の私小説と云われる『墨東綺譚』。

その一節にも出てくる「言問橋」は、

戦前の美しくも哀しい小説の舞台となっただけでなく、

戦災の東京大空襲によって命を落とした

おびただしい人々の思いが残る場所でもあります。


知らず歩き過ぎる人もいれば、

今だ幾つかの思いを抱きかかえるようにして橋を渡る人もいる・・。

そんな沢山の思いを渡した「言問橋」に立つと

真っ白なユリカモメたちが只無心に餌をねだり

飛び集まってまいりました。


勿論、私が渡った「言問橋」でポケットに忍ばせていたのは

お雪ならぬ清酒「白雪」であったことは、

たぶん偶然のことでございましょうが・・・。








『隅田川七福神めぐり』その3











続く














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この記事へのコメント
こんにちは。あけましておめでとうございます。
早速拝見しました。モノトーンのかもめの写真素敵ですね。決定的瞬間を逃さず街と河を一体化させ、まさに”一瞬の芸術”という感じがしました。
このようなお写真を撮影出来るひげさんを尊敬します。ひげさんの心の豊かさと動物を愛する心が伝わってきます。今後落ち込んだ時、悲しい時にこの写真を拝見し心のよりどころとさせていただきます。
Posted by kaneda at 2010年01月08日 18:46
kanedaさん、おめでとうございます。

カモメはネットで調べるとユリカモメでした。
小柄で端整な顔をしております。

ひげの住むところを下ると大岡川という桜の名所があります。
そこには冬になるとカモメが登ってきます。
きっと餌を求めてくるのでしょう。
パンを投げると空中でキャッチする芸当を見せてくれます。

言問橋の古い欄干には、戦災で亡くなった人達の痕がまだ残っていました。
大岡川でも横濱大空襲の時に火を逃れた沢山の人達が
川の中で亡くなったそうです。

現在のこのささやかな幸せも、そういう時代の上に成り立っているということを
忘れないようにしております。

もちろん、クルマを愛でる幸せも、一杯のお酒を飲み干す幸せも
そういう視点で咀嚼しますと、「幸せだなぁ・・」と思える瞬間に変わります。

さて、これから年末に出来なかった大掃除です。
頑張りますっ。笑
Posted by ひげひげ at 2010年01月09日 10:39
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