2014年08月02日

「Japanese Jewel Beetle」












「からっぽの木」の正式名称である榎木、


ここ清水ヶ丘公園周辺には榎木の大きな木が何本もあります。


この榎木は国蝶であるオオムラサキだけでなく


ゴマダラチョウなどの生活や繁殖のために必要な木です。


他の木ではダメなんですね。


そして本日の主役の「玉虫(タマムシ)」も榎木を食樹として繁殖します。


玉虫はその美しすぎるくらい光輝く身体は


私は我が国で一番美しい甲虫だと思っています。


英名では「Japanese Jewel Beetle」。まさに宝石。



玉虫は子供の頃からの夏の昆虫採集で憧れの虫でした。


この虫が見れるのは真夏の晴れた直射が強く風の無いお昼ごろ


榎木の大木の頂近くを独特のフォルムで飛ぶ姿を見つけると


近所の子供たちと先を争って


ワクワクしながら追いかけました。


でも網の届かない大きい木の頂にしか飛ばないので


いつも指をくわえて見ているだけでした。


ここ清水ヶ丘でも暑さを我慢して観察していると


今も玉虫の飛翔がみられます。






先日のブログでカブトやクワガタなどの画像とお話を書きとめましたが、


今朝は自宅を出てすぐの場所に弱った玉虫が落ちていました。


古来、玉虫は「吉丁虫」とも書かれて縁起の良い虫。


この虫を所有していると女性は「恋が叶う」とか


タンスに入れておくと「着物が増える」、


「幸せになる」とか言われて好まれてきました。


江戸時代の江戸周辺では美しく鳴く虫を売り歩いていました。


これは鈴虫などの美しい鳴き声を聞いて愉しむという風情で


「虫聞き」と言われていました。


その中には鳴く虫だけでなく玉虫も売られていたそうです。


余談ですが、京都嵐山の鈴虫寺で聞いた鈴虫の音(ね)はとても良かったです。

http://www.suzutera.or.jp/





奈良県斑鳩町の法隆寺が所蔵する


飛鳥時代の仏教工芸品「玉虫厨子」には玉虫の輝く羽が


数千も使われている「国宝」として有名ですね。


飛鳥時代は今から約1400年も前の時代です。


そんなに昔から「玉虫」は歴史に残る扱いをされていたほど


貴重で美しい虫だったのでしょう。


我が国には、自然界の中の些細な事柄や


小さな虫にさえ目を向け心を開いて


鳴き声や姿を愛でるという慣習があります。


その儚げで控え目で、囁くように鳴く秋の虫も


もう少ししたら鳴き始めることでしょう。


「玉虫を 恋し恋しと 想うまに 身はうつせみと なるぞ悲しき」

(御伽草子より)





この玉虫は残念ながら力尽きてしまいましたが、


以前拾った玉虫と同様に箪笥に入れておくことにいたします。


その美しさをずっと留める為にも・・・。




  


Posted by ひげ at 08:03Comments(0)横濱