2010年01月05日

『隅田川七福神めぐり』その3














昭和十二年(1937年)、

永井荷風が五十八歳の時に執筆した『墨東綺譚』。

文中、自身をあてはめた小説家大江匡は

「言問橋」をわたってお雪という女性に出会う。

出会いと別れを、季節の移り変わりとともに

美しく描き切っているこの荷風の私小説と云われる『墨東綺譚』。

その一節にも出てくる「言問橋」は、

戦前の美しくも哀しい小説の舞台となっただけでなく、

戦災の東京大空襲によって命を落とした

おびただしい人々の思いが残る場所でもあります。


知らず歩き過ぎる人もいれば、

今だ幾つかの思いを抱きかかえるようにして橋を渡る人もいる・・。

そんな沢山の思いを渡した「言問橋」に立つと

真っ白なユリカモメたちが只無心に餌をねだり

飛び集まってまいりました。


勿論、私が渡った「言問橋」でポケットに忍ばせていたのは

お雪ならぬ清酒「白雪」であったことは、

たぶん偶然のことでございましょうが・・・。




















続く











  


Posted by ひげ at 23:55Comments(2)七福神めぐり

2010年01月05日

『隅田川七福神めぐり』その2




遥か昔から「七福」とは、

人の本質で最も尊い「宝」とされていた

寿命、裕福、人望、清廉、愛敬、威光、大量の意だそうで

室町時代後期に上記を神仏・聖人にあてはめて

『七福神』としてその象徴としたそうです。



いずれの言葉も人が徳を得て生きる上で

本来必要とされる「自身を律する心」ではないのかな・・。

もし努めずして、自身が自然に振舞えるようになったら

それは素晴らしいことに繋がってゆくはず・・。


とまれ古来、人が福や幸せを求めるにはまず、

自身の心と身を洗い改めて

心爽やかになった上で神仏に願う・・・。

この順序が逆になってはいけないという

永い歴史に継承されてきた活きた言葉だと思います。



人はただ、希望し求めることを優先して、

叶わぬときは不平不満を先に口にするけれど、

その順序を間違えず自身を律する気持ちの大切さと

素朴で純粋な心を持ち続ける強い意志への継続の努力に

救いを託したであろう遠い昔・・・。

医学も学問も科学も、現代とは掛け離れた時代にその事を信じ、

そして縋ってきた膨大な時間と歴史があって、

その経緯の中にある意味での

現代の不安と不信打開への「ひとつの姿勢」が

包含されているのではないか・・・と、

そんなことに思い至ることができたのは、

このお正月の『隅田川七福神めぐり』を経験したうえでの、

これはひとつの御利益といえるのでしょうか。



いま、この忙しく時間の流れの飛び去るかのような人間社会、

じっくりと自身の視点で物事を咀嚼(そしゃく)し、

考え、結論を出し、

それを行動に移していくにはあまりに、

あまりに決断へ要求される時間が短い現代。


今年、これからの自身の方向性に対する

大切なことを見つめられた有意義な時間の

七福神めぐりでありました。











季節に素直に咲く、可憐な十月桜。
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弁財天をお祭りした長命寺。
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布袋尊を祭った禅寺として有名な弘福寺。
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ここは側面から見上げる造りが素晴らしい。
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まるで京都に居るかのようですね。
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弘福寺の境内の建物も風情があります。
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素晴らしき時代を色濃く残す向島「カド」。
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源氏名の表札もかかった味のある昭和なお宅。
二階の簾も風情があります。
































三囲神社の「三囲」は画像のように書いて「みめぐり」と読みます。
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三囲神社拝殿です。
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三囲神社内には「大国神」と「恵比寿神」が祭られております。
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「大国神」と「恵比寿神」に二神一対で商売繁盛。
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隅田川七福神の御像と宝船。
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今回の巡拝コース全容です。上から下に、最初に長めのコースを選びました。
浅草方面から北上する逆コースもあります。
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続くぅ




 
  
 
 
  


Posted by ひげ at 00:08Comments(2)七福神めぐり